論語と算盤

gura

理想的な日本のリーダー

言わずと知れた日本経済の立役者、渋沢栄一の著書です。

現在、NHKの大河ドラマ「晴天を衝く」で吉沢亮さんが演じられていますよね。

渋沢栄一は1840年に現・埼玉県深谷市の富農の家に生まれ、その後一橋家に出仕し、慶喜の将軍承継によって幕臣となり、遣欧使節団の一員としてパリに渡り、ヨーロッパ諸国を歴訪。維新後は明治政府の招きで民部省、大蔵省に仕官し、73年、健全財政を主張して辞任。民間の立場から商工業に関わることを志し、第一国立銀行をはじめとする約500社もの企業の創設・発展に寄与する。経済団体を組織し、商業高校を創設するなど実業界の社会的地位向上に努めたほか、社会公共事業や国際親善活動に尽力した方です。(角川ソフィア文庫より抜粋)

幕末から明治,大正、昭和にかけ生き抜いた人物であり、それまでは出所によって決められていた身分制度、士農工商という厳格な縦割りの社会からの脱却、鎖国からの解放で激震する時代の日本にあって、果敢にその荒波に立ち向かい、現在の資本主義社会、日本の礎を築いた人物です。

本の要約としては、江戸時代以来、道徳教育を受けていたのは武士層にほぼ限られており、農工商にはそれが乏しかった。そのため、彼が関わる商業界では、収益だけが目的の拝金主義となってしまっている。一方武士層は朱子学的道徳教育であったため、空理空論のみとなっていて、これでは国家を衰弱させる。それらを補い合い、つないで、そこに人間の品位をプラスするために加えたられものが論語であるのです。

この著書にこのような文があります。

現代でも心がけるべき指針のひとつだと思うので紹介させていただきます。

ただ王道あるのみ

思うに社会問題とか労働問題等のごときは、単に法律の力ばっかりをもって解決されるものではない。例えば一家族内にても、父子、兄弟、眷属に至るまで各々、権利義務を主張して、一も二も法律の裁断を仰がんとすれば、人情は自ずから険悪となり、障壁はその間に築かれて、事毎に角突き合いの沙汰のみを演じ、一家の和合団欒はほとんど望まれぬことになろう。

王道はすなわち人間行為の定規であるという考えを持って世に処すならば、百の法文、千の規則あるよりも遥かに勝ったことと思う。その関係しつつある事業の利害損失は、すなわち両者に共通なる所以を悟り,相互に同情をもって終始する心掛けありてこそ、初めて真の調和を得らるるのである。

格差社会の弊害

各々が自分の私利私欲のみを全うしようとすれば、自ずと軋轢が生じ、社会に不満が蔓延するのは当たり前のことです。

既得権益を得たからには譲らないというやり方も、そのときは良いように見えても、いずれ人徳を失い国を滅ぼすでしょう。

最後のくだりには、「人は成敗にかかわらず、まず誠実に努力すれば、公平無私なる天は、必ずその人に福し、運命を開拓するように仕向けてくれるのである。道理に則って一身を終始するならば、成功失敗のごときは愚か、それ以上に価値ある生涯を送ることができるのである。」と。

私利私欲に走らず、誰もが納得できる道を最後まで模索し続けた渋沢栄一のようなリーダーが世界中で活躍する世の中になれば嬉しいのですが。

まずは自分が正しいと思う方向に、ぶれずに進んでいきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました😊

SDGsはアリバイ工作であるということ
私たちがエコバッグで買い物にいこうが、ゴミの分別をいくら頑張ってしようが、いくら政府や企業がSDGsの行動をいくつかなぞろうが、それだけでは気候変動は止められないそうなのです。もちろん個々のエコ活動が無駄なのではありません。当然できる人ができることをすることが大切です。でも、それだけではもうこの人新世の時代を抜本的に解決する方法にはならないのです。

論語と算盤 (角川ソフィア文庫) [ 渋沢 栄一 ]

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