「FACT FULNESS」2

gura

自分の殻に閉じこもるよりも、正しくありたいと思う人へ

世界の見方を変える準備が出来た人へ

感情的な考え方をやめ,理論的な考え方を身につけたいと思う人へ

謙虚で好奇心旺盛な人へ

驚きを求めている人へ

是非ともページをめくってほしい

         by ハンス・ロスリング

ハンス・ロスリングが教えてくれる「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」について今回は深掘りしていこうと思います。

著者は、私のクイズで、最もネガティブで極端な答えを選ぶ人が多いのは、「ドラマチックすぎる世界の見方」をするのが原因だとています。

世界のことについて考えたり、推測したり、学んだりするときには、だれもが無意識に「自分の世界の見方」を反映させてしまう。

なので世界の見方が間違っていて、正しい推測ができないのだそうです。

そして、人々が目の前にある現実を間違って解釈する原因には、今から紹介する10の思い込みがあるそうです。

分断本能

まずは分断反応。

これは「二項対立」ともいい、

  • 良いか悪いか
  • 正義か悪か
  • 自国か他国か
  • 途上国か先進国か

など、種類を二つに分けてしまう思考本能です。

先回のクイズでは、低所得国高所得国の間には、明らかな分断があると思われている人がとても多かったのですが、実際には分断などはなく、代わりに中所得国があり、そこには人類の75%が暮らしていました。

そして中所得国と高所得国の国を合わせると、じつに人類の91%になり、そのほとんどはすでにグローバル市場に取り込まれ、徐々に満足した暮らしができるようになっていたのです。

このように実際には分断などないのに、人々は分断があるかのように思いこんだり、さほどの違いもないのに、違いがあると思い込んだり、対立がないのに対立があると思い込んでしまうことがある。

これが分断本能の仕業だということです。

ネガティブ本能

次はネガティブ本能です。

「世界はどんどん悪くなっている」と答える人が、多くの国で過半数を超えるそうです。

これは、人が物事のポジティブな面よりもネガティブな面に注目しやすいという思考回路により、世界について「とんでもない勘違い」が生まれる原因にもなっているようなのです。

しかし世の中にはネガティブなニュースだけでなく数え切れないほどの「小さな進歩」が世界中で毎日起きていて、そんな「小さな進歩」の繰り返しが世界を変え、数々の奇跡を起こしてきたのです。

「世界は思っているより、ずっと良くなっている」と知れば、なんだか元気も湧いてきますよね。

「小さな進歩」に関する統計はネットから無料で入る「幸せの薬」だそうです。

たとえば、世界の極度の貧困率が1800年から一貫して減り続け、直近20年を見てみると人類史上最も速いスピードで「極度の貧困」が減ってきているのがわかります。

世界の平均寿命はいまでは70歳を超え、大半の子供が予防接種を受けていて、暮らしに関わるほとんどの指標が良くなっていることを知ることもできます。

ネガティブ本能がもたらす悪影響のうち、おそらく最も質が悪いのは希望を失うことなのです。

なかなかメディアでは紹介されない喜ばしいニュースも積極的に見つけていきたいものです。

直線本能

実は,世の中にはこんなクレームもあるようです。

極度の貧困に暮らす何百万人もの子供の命を救ってきた慈善団体に対して「あんたたちが貧しい子たちを助けたら、世界の人口はこのまま増え続ける。そうしたらいずれ地球が滅んでしまう」と。

しかし、実際には貧しい子供を助けない方が人口はひたすら増え続けるそうなのです。多くの家庭が「極度の貧困」に暮らし続ける限り、その子供たちによって人口はさらに増えてしまう。というのが現実であり、人口増を止める確実な方法は、極度の貧困をなくし、教育と避妊具を広める事であると著者は断言します。

そして、最も大事なことは

極度の貧困という人間の尊厳を傷つけられるような状況から、人々を救い出すという道義的責任。

だそうです。

今苦しんでいる人たちを無視して「未来の人たちが苦しまないように、地球を守ろう」と叫んでも言葉がむなしく響くだけだ。

答えは1つ。

私たちは、病気で亡くなる子供を減らすために全力を尽くすべきだ。

そうすることで、今苦しんでいる子供も、未来の地球も救うことができるのだから、と。

恐怖本能

人はみな恐怖に包まれると判断力が鈍る。

これは、とても理解しやすいです。

なので報道する情報を選ぶとき、恐怖本能を刺激するか否かを判断基準にしているメディアが多いそうです。

戦争による死者
テロの数
海洋汚染
温室効果ガス
金融システムの崩壊など

そんなニュースが流れてこれば、

人々は恐怖でパニックになる。

冷静な判断ができなくなる。

しかし恐怖本能は諸刄の剣だと著者は言います。

恐怖本能があるおかげで世界中の人々が助け合うこともできる、と。

そしてそれが人類の進歩につながる。

1985年にはノーベル平和賞の選考委員会が「平和な世界を実現するのに最も大事なのは、核兵器を減らすことだ」と判断し、著者が所属する核戦争防止国際医師会議という医療関係者の団体にノーベル平和賞が贈られました。

1986年には世界中に64,000発の核弾頭があったものが、現在は15,000発に減ったそうです。(2017年データ)

核兵器のような恐ろしいものが減っているのも、恐怖本能のおかげだと著者はいいます。

一方、恐怖本能は時に暴走もする。

そうなると判断力が鈍った人々によって大惨事が引き起こされることもある。

大切なのは「パニックが収まるまで大切な決断をするのは避けよう。」ということです。


平和な世界は上の世代が私たちにくれたはかない贈り物だ。

大事にしよう。

世界が平和でなければ、持続可能な未来を作るといった崇高な目標は達成できない。

そして世界が平和でなければ、他の分野でいくら進歩があったとしても、喜ぶことはできない。

過大視本能

「人はみな物事の大きさを判断するのがへたくそだ」と著者いう。

もちろんそれには理由がある。

何かの大きさや割合を勘違いしてしまうのは、私たちが持つ「過大視本能」が原因だなのだそうです。

過大視本能は2種類の勘違いを生む。

まず数字を1つだけ見て、「この数字はなんて大きいんだ」とか「なんて小さいんだ」と勘違いしてしまうこと。

そして、1つの実例を重要視しすぎてしまうこと。

メディアは過大視本能につけ込むのが得意なのです。

ジャーナリストたちは、様々な事件、事実、数字を、実際よりも重要であるかのように伝えたがったり、

また「苦しんでいる人たちから目を背けるのは、なんとなく後ろめたい」と思う気持ちを、メディアは逆手に取ろうとする。

過大視本能と、以前紹介したネガティブ本能が合わさると、「人類の進歩」を過小評価しがちになる。

例えばメディアや慈善団体は常日頃から何かで苦しんでいる人を紹介している。

また彼らは自分たちの主張を強調するために途方もなく大きく見える数字を、それぞれの事例に添えようとする。

これこそが人々が世界の見方を間違えたり、進歩を過小評価したりする原因だそうです。

私たちにできることは、その提示された数字を鵜呑みにせずに他の数字と比較したり,80・20ルールで分析したりすることが大切なのだそうです。

パターン化本能

人の行動の理由を国や文化や宗教のせいにする人がいたら「そのパターン化本能を疑え」ということです。

同じ集団の中に、違う行動の例はあるだろうか?

あるいは違う集団でも同じ行動があるだろうか?

いちど、決め付けずに落ち着いて考えてみよう。ということです。

よくありがちな、例題を上げて集団全体がどうこうという主張には警戒した方が良い。

そして新しい証拠が出てきたら、心を開いて刷り込まれと思い込みを疑い、見直し、もし自分が間違っていたら、それを認め改める勇気をもたなければならない。

常々、人々の「パターン化」には間違いを生み出しやすいことをくれぐれも肝に命じること。

宿命本能

宿命本能とは、持って生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まると言う思い込みだ。

物事が今のままであり続けたのには、どうにもならない理由があるからで、昔からそうだし、これからも永久にそのままだと考えてしまう思考状態のことだ。

人間の進化の過程では、この本能が役に立ったに違いない。でもよく見るとたいていは本能に騙されている。

そこには理屈があるようで、実はただの思い込みなのだ。

いろいろなものが変わらないように見えるのは、変化がゆっくりと少しずつ起きているからだと気づくことが大切なのだそうだ。

単純化本能

あなたが肩入れしている考え方が正しいことを示す例ばかりを集めてはいけない。

時にはあなたと意見の合わない人に考え方を検証してもらい、自分の弱点を見つけよう。

けっして自分の専門分野以外のことを、知った気にならない方が良い。

自分には知らないことがあるのだと謙虚に認めよう。

どの道のプロも専門分野以外の事は案外知らないものなのだ。

1つの問題を深く掘り下げると、その問題が必要以上に重要に思えたり、自分の答えが良いものに思えたりすることがある。

でも1つの道具が全てに使えるわけではない。

違う分野の人たちの意見に心を開いて聞いて欲しい。

妥協もいとわないで欲しい。

ケースバイケースで問題に取り組もう。

犯人探し本能

私たちは「犯人探し本能」のせいで個人なり、集団なりが実際よりも影響力があると勘違いしてしまう。

「誰かを責めたい」という本能から、事実に基づいて本当の世界を見ることができなくなってしまうのだ。

誰かを責めることに気持ちが向くと学びが止まる。

誰かが悪いと責めることで、複雑な事実から目をそらし、正しいことに力を注げなくなってしまう。

物事がうまくいっている時にも、犯人探し本能は湧き上がる。

「誰かのせいにしたい」気持ちは、責める時も褒める時も同じなのだ。

物事がうまくいくと、誰か1人の功績にしたり、単純な理由を見つけたくなってしまう。

でも、ここでも大抵の場合、物事ははるかに複雑なものだし、本当に世界を変えたいのなら、このことを肝に銘じておこう。

犯人探し本能は役に立たないのだと。

焦り本能

世界の見方を痛めてしまう最悪の本能の1つが焦り本能だそうです。

「他の本能についてもこの本の中で最悪だと言ってしまったが、焦り本能だけは特に注意した方が良い。もしかすると他のすべての本能も焦りに含まれるのかもしれない。」と著者はいいます。

ドラマチックすぎる世界が頭の中に広がると必ず危機感やプレッシャーを感じてしまう。

今しかないという焦りは、ストレスの元になったり、逆に無関心につながってしまうらしいのだ。

何でもいいからとにかく変えなくては。

分析は後回し。

行動あるのみ。と感じたり、

逆に何をやってもダメ。

自分にできる事は無い。諦めよう。と言う気持ちになる。

どちらの場合も考えることをやめ、本能に負け、愚かな判断をしてしまうことになる。

グローバルな危機が目の前にあることは間違いない。

世界の中にも何もかもがうまくいっていて問題は1つもないと言っているわけではない。

著者が1番心配している5つのリスクは感染症の世界的な流行、金融危機、世界大戦、地球温暖化、そして極度の貧困だ。

なぜこの5つを特に心配しているかと言えば、実際に起きる可能性が高いからだ。

最初の3つはこれまでに起きたことがあるし、あとの2つは現在進行中だ。

どの危機が起きても、大勢の人が苦しみ、数年、または数十年にわたって人類の進歩が止まってしまう。

もし、これらの危機を切り抜けられなかったら、他の事も全てダメになってしまう。

これらの危機を避けるには、人々が力を合わせて「小さな歩み」を重ねるしかないのだ、と。

最後に

最後に著者からのメッセージを紹介して終わりたいと思います。

メッセージ

極度の貧困は目の前の現実だ。

それは今まさに日々起きている苦しみなのだ。

エボラが流行するのも、極度に貧しい地域だ。

それは病気の初期に対応できるような医療サービスは無いからだ。

内戦が起きるのもまた貧困地域だ。

貧困地域の若者は喉から手が出るほど食べ物と仕事を欲しがり、失うものは何もない。

だから残酷なゲリラ活動に自ら参加するようになる。

そこに悪循環が生まれる。

貧困が内戦を引き起こし、内戦は貧困につながる。

アフガニスタンと中部アフリカでは紛争のせいで既存の開発プロジェクトは全て止まっている。

極度の貧困が残る数少ない地域にテロリストが隠れる。

内戦地域ではどんな人道的活動も難しくなる。

この数十年は歴史の中で比較的平和な時期で、この平和が世界の繁栄につながってきた。

極度の貧困から抜け出せない人の割合はこれまでで最も低くなっている。

それでも少なくとも8億人が取り残されている。

今この世界で8億人が苦しんでいる事はわかっている。

どうしたらこの8億人を救えるかもわかっている。

必要なのは平和学校教育、すべての人への基本的な保健医療、電気、清潔な水、トイレ、避妊具、そして市場経済に参加するためのマイクロクレジットだ。

貧困の撲滅にイノベーションは必要ない。

他の場所で効果のあった対策を、極度の貧困にある人たちに届ければいい。

後は最後の一方詰めるだけだ。

早く動けばそれだけ、問題が小さいうちに抑えられる。

極度の貧困にある限り、大家族が続き、家族の頭数は増え続ける。

レベル1にいる人が、人間らしく暮らすための必需品を届けることに、今すぐ力を注ぐべきだ。

救い出すのが1番難しいのは、政府統治力が弱い国の、暴力や武装勢力から逃れられない人たちだ。

貧困から抜け出すには、安全をもたらしてくれる何らかの力が必要になる。

銃と権限を持つ警察がか弱い市民を暴力から守り、教師が次世代の子供たちを安心して教えられる環境がいる。

私はそれでも希望を持っている。

次の世代の人たちは、長い長いリレーの最終走者のようなものだ。

極度の貧困との戦いは、1800年から続くマラソンのような長距離レースです。

次の人世代はゴールテープを切れるチャンスがある。

バトンを受け取り、ゴールに駆け込み、ガッツポーズをするのは次の世代だ。

このレースは絶対に完走しなければならない。

何が1番深刻な問題か分かっていれば安心できるのだ、と。

この本は2019年に日本で出版されていてデータは2017年のものを参考にしています。

それから5年経ち,データも新しくなっています。

この記事を書くにあたって、関連サイトに行き18問のクイズに挑戦してみました。

英語のサイトなので質問の意味がわからないのもあり,正解は18問中10問でした。

 チンパンジーよりはよかった?ようです。

皆さんもぜひ挑戦してみてください。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。