ゲーム「大神」と古事記

gura

こんにちは、ぐらです。

この年末年始にかけてゲーム三昧の日々を過ごしました。(私は観ていただけですが)

その中で特に面白かったゲームは、(株)カプコンから発売されている(クローバースタジオ企画)「大神」絶景版

株式会社カプコン:CAPCOM WORLD JAPAN
ゲームというエンターテインメントを通じて「遊文化」をクリエイトする株式会社カプコンのウェブサイト。ゲーム情報サイトをはじめ企業情報サイト、ネットショッピング、ファンサイトなど、さまざまなサービスについても紹介しています。

2006年にPlayStation®2で発売されたのち、2018年にはSwitchで販売され、売上は190万本を超えています。

内容的には、日本の神話をモチーフにした世界が舞台で、「オオカミ」のような外見をした天照大神”アマテラス”が、ヤマタノオロチの封印を解いたことによって、再び荒廃した世界を回復させていく物語です。

このゲームの醍醐味は、水墨画風のタッチで描かれたグラフィックと日本の美しさが堪能できるところです。

ゲームが始まると、いままでのゲームでは見たことがない”和”で’斬新”な映像にすっかり魅了されてしまいました。

「大神」が暗闇を歩くと、その足下にはカラフルな花が咲き、また枯れていく。

まるでジブリ映画「もののけ姫」で森羅万象をつかさどる神、デイダラボッチのそのモノみたい。

ヤマタノオロチの封印を解いたために、禍々しいもので溢れ、荒廃して水墨画のように色を失った村。

そこへ現れた「大神」の活躍によって、だんだんと草木が生え、花が咲き、見違えるほどの色鮮やな世界に変貌していくのを観るのは、とても心躍ることですし、いまのゲームの技術の高さに圧倒されました。

また、このゲームでは”筆しらべ”という独特な技が使えます。

自分自身がゲームの中で絵を描くことによって戦えるのです。

例えば一文字線でモノを真っ二つに切ったり、天空に丸を描くことで太陽を昇らせたりできる技で、まるで神にでもなったような万能感が癖になります。(観てただけだけど…)

また、キャラクターも、とても魅力的です。

このゲームのタイトルでもあり、主人公でもある”大神”は、「天照大神」と「狼」の二つの意味が込められていますが、わたしには賢くて可愛いわんちゃんにしか見えません。

その他にも英雄”イザナギ”や酒造りにたけた”クシナダヒメ”に「大神」とともに旅をする”イッスン”。

謎の陰陽師”ウシワカ”など魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。

物語は日本神話に忠実なわけではなく,昔話や民話の要素も入っていて、とてもエンターテイメントなゲームです。

しかしゲームをしていると、子供の頃に読んだきりの日本の神話って、どんな内容だったっけ?とちょっと疑問に思い、この際調べてみることにしました。

「古事記」で紐解く日本神話

「古事記」は第四十代天武天皇(在位673〜686)の要請によって、記憶力抜群の稗田阿礼という語り部に、天皇家の系譜や,それにまつわる神話、伝説を覚えるように指令が与えられました。

それを天武天皇亡き後(第四十三代元明天皇の頃)、太安万侶に稗田阿礼の暗唱を書き写すように命じて出来たのが『古事記』なのです。

五柱の神(性別がなく姿を見せない)

「そのとき,天と地はいまだ分かれず、混ざり合っている状態が無限に広がっていた。」

「やがて天と地が別れたとき、天のとても高いところ,高天原と呼ばれる天上界に、次々と神が立ち現れた。」

古事記はこのように始まります。

まず最初に現れたのが、万物の再生・生成を司る姿を見せない神(性別のない単独の神)

いわゆるキングオブ神3です。

天界に1番目に登場
天の中央にあって天地を主宰
アメノナカヌシノ神(天之御中主神)
2番目に登場
天上界の創造神
タカミムスヒノ神(高御産巣日神)
3番目に登場
地上界の創造神
カムムスヒノ神(神産巣日神)

「地上が、地上というほど固まっておらず、水に浮かぶ脂のような状態で,クラゲのように漂っていた頃」

続いて神4と神5が誕生

4番目に誕生
生きとし生けるものに魂を吹きこむ
ウマシアシカビヒコヂノ神(宇麻志阿斯訶備比古遅神)
5番目に誕生
天上界の永遠を守る
アメノトコタチノ神(天之常立神)

以上の五柱の神は、天つ神(天上界にいる神)の中でも特別な神です。

つぎに地に現れた神

まず地上に独り神(性別のない神)が二神

地上に1番目に誕生
国土の永遠を司る神
クニノトコタチノ神(国之常立神)
地上に2番目に誕生
大自然に命を吹き込む
トヨクモノノ神(豊雲野神)

ここまで長かったですね〜

いよいよ馴染みの深い神様たちが登場します。

イザナギとイザナミ

クニノトコタチノ神とトヨクモノノ神のどちらも単神で姿を現さない神であり、五柱の神々と同じでした。

やがて男女一対の神々が五組次々と立ち現れました。そして最後に立ち現われた一組がイザナギとイザナミでした。

男神女神
イザナギノ命イザナミノ命

ここからはとても人間らしく?なってきます。

イザナギとイザナミはどろどろと漂っている地上を天つ神から授けられた矛でかき回して国作りを始めます。

最初に作ったのがおのごろ島(現在の淡路島)。

イザナギとイザナミにより本州など八つの島々が生み出されました。

そのあと、さまざまな神(八百万の神)を産みはじめます。

まずは家をつかさどる神、海をつかさどる神、河の神、水の神、風の神、木の神などイザナミは順調に神々を産んでいきましたが、最後の火の神を産んだ時の怪我がもとで命が尽きてしまい黄泉の国へと旅立ってしまうのです。

黄泉の国から戻り,妻との訣別

イザナギは妻(イザナミ)の死を受け入れられず、いつまでも嘆き悲しみました。

(もう一度、妻に会いたい。)

その気持ちを抑えられないイザナギは、ついに死者の住む黄泉の国へと降りていく決意をします。

しかし黄泉の国で、すでに不浄な火と水で炊いた食物を食べてしまったイザナミからは「もう地上には戻れない」と告げられます。

それでも諦めないイザナギに「ではこちらの神々に相談してみましょう。でも私を待っている間,決して私の姿を見ようとしないでくださいね。」と、固く約束させました。

しかし,鶴の恩返しのように、こういう場合、必ず約束を破ってしまうのが世の常。

約束を破ったイザナギが見たのは、腐臭を放ち醜く変貌した妻の姿。

イザナギは、恐れ、体を震わせ、その場から逃げ出すのです。

一方、イザナミは約束を破って自分の変わり果てた姿を見たイザナギに怒り、八匹の魔物と、黄泉の国の千五百の軍勢を差し向けます。

その追手を十拳剣で追い払いながら、イザナギは現世との境界にある世泉比良坂(よもつひらさか)のふもとまで逃げました。

そして、その坂の上り口にあった桃の木の実を3つもぎ取り、黄泉からの追手に投げたところ、追手は忽ち退散しました。

それ以来、桃には邪気を払う力があるとされているそうです。

桃の力で安心したのも束の間、黄泉の方向を見ると、妻イザナミが猛スピードでこちらに突き進んでくる。

そこでイザナギは、とっさに傍にあった大石を転がして、世泉比良坂の真ん中に据え置き、道をさえぎり、こう叫んだ。

『これより夫婦の契りを解く!』

その言葉を聞いたイザナミは「なんていうことを言うのです。では私は、これからあなたの国の人々を、一日に千人絞め殺しましょう。」と告げます。

それに対してイザナギは「あなたがそうするというなら、私は一日に千五百人の子を産ませる産屋を建てることにしよう。」と,言ったそうです。

こういうわけで、この国では人は日ごとに必ず千人死ぬいっぽう、必ず千五百人生まれるようになったそうです。

この点は、現在とはだいぶ違いますね。

アマテラスの誕生

イザナギは黄泉の国から無事に戻ってすぐ、筑紫国の日向に行き、川の流れで身を清めます。

黄泉の国という異界に行って戻ってきたことで両性具有の能力を身につけ、イザナギはそこでもさまざまな神を産みました。

アマテラス大御神(天照大神)
左目を洗うと生まれた太陽の神
高天原での世界をおさめる
ツクヨミノ命(月読命)
右目を洗うと生まれた月の神
夜の世界をおさめる
タケハヤスサノオ命(建速須佐之男命)
鼻を洗うと生まれた荒々しい性格の神
海原をおさめる

スサノオとヤマタノオロチ

しかしスサノオは海原を治めず,毎日泣いてばかりいた。

悲しみに耐えきれず、母の元へ行きたがる息子をイザナギは国外への追放を決意します。

追放される前に、アマテラス(姉)のところに挨拶に寄るスサノオでしたが、お互いの心のすれ違いにより結果、スサノオは姉を怒らせ姉・アマテラスは岩谷に閉じこもってしまいます。

そのため,世界から太陽が消え、真っ暗になってしまいます。

困った神々が、知恵を合わせ、天の岩戸からやっとのことでアマテラスを連れ出すのですが、この件でスサノオは神々に処罰されたうえ、高天原から追放されてしまいます。

そして、スサノオは出雲国(現在の島根県)に降り立つのです。

ヤマタノオロチ伝説

そこでヤマタノオロチの生け贄とされる運命のクシナダヒメと運命的な出会いをし、ヒメをオロチから救い、自分の妻とします。

そのヤマタノオロチを退治した際に大蛇の尾から出た立派な太刀を、アマテラス大御神に献上し、のちに三種の神器のひとつ「草薙の剣」となりました。

あと二つはアマテラスを天岩戸から誘い出すときに使った「八咫鏡」と「八尺瓊の勾玉」です。

スサノオの子孫、オオナムチ

いきなりですが、今年は卯年ですよね。
うさぎといえば『因幡の白兎』が有名です。

海を渡りたいがためにサメを騙し、それがバレて怒ったサメに皮を剥かれたうさぎを助けた神様はスサノオとクシナダヒメの子「ヤシマジヌミノ命」の五代あとの孫であるオオナムチ(のちに大国主命と呼ばれる)です。

オオナムチには大勢の異母兄弟(八十神)がいましたが、オオナムチは末っ子で、いつも兄たちにこき使われていました。

あるとき八十神たちは出雲国から全員で、因幡国(現在の鳥取県)に住む一人の美しい娘のところへ求婚の旅に出かけます。

その途中、気多の岬にいた傷ついたうさぎに、意地悪な兄達は嘘の治療法を教えてうさぎは余計にひどい状態になります。

同情したオオナムチは、うさぎにきちんと傷を治す方法(真水で身体を洗い、蒲の穂の花粉を付ける)を教えてあげました。

そしてうさぎは、オオナムチの優しさにとても喜んで「あなたこそヤカミヒメを娶る人です。」と予言し、その後的中しますが,事はそんなにすんなりとは運びません。

その後もオオナムチは兄達から、舅から何度も命の危険にあわされるのです。

興味が湧いた方は「眠れないほど面白い古事記」王様文庫をご覧ください。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました😊