こんにちは、ぐらです。
先日、図書館で本を数冊借りてきました。
その中の一冊、日本では2019年に出版された「ファクト フルネス」はとても面白く、世界に対する概念を大きく変えてくれましたのでご紹介します。
私は自分が30年以上前に学校で教わった知識を全くブラッシュアップせず、現在まで保ち続けていたことに愕然としました。
著者は3人
著者は医師であり、またスウェーデンで「国境なし医師団」を立ち上げたハンス・ロスリング、そしてその息子オーラ、オーラの妻アンナの3人で力を合わせて書かれた本です。
この3人は「事実に基づいた世界の見方を広め、人々の世界にまつわる圧倒的な知識不足をなくそう」と決意し、2005年にギャップマインダー財団を設立されました。
「あなたは次のような先入観を持っていないだろうか。」と著者は問いかける。
「世界では戦争、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困化が増え続ける一方だ。何もしなければ天然資源はもうすぐ尽きてしまう」
著者はそんな「ドラマチックすぎる世界」の見方は精神衛生上良くないし、そもそも正しくない。といいます。
世界の真実に関するクイズ
これからクイズに挑戦してみてください。
〈これは2017年のデータを元にしています。〉
- 質問1 現在低所得国に暮らす女子の何割がが初等教育を終了するでしょう?
A 20% B 40% C 60%
答え C 正解率7%
- 質問2 世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?
A 低所得国 B 中所得国 C 高所得国
答えB 人類の75%が暮らしている
- 質問3 世界の人口のうち極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった
答え C 正解率は7%
- 質問4 世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう
A 50歳 B 60歳 C 70歳
答えC (2017年の統計では72歳)
- 質問5 15歳未満の子供は現在世界に約20億人います。国連の予測によると2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
A 40億人 B 30億人 C 20億人
答え C
高学歴で影響力を持った多くの人たちは、世界の人口学者なら誰でも知っている事実を一切知らないし、ダボス会議に来ていた専門家たちの正解率は26%だったと著者はいいます。
データは国連のウェブサイトでいつでも無料で見ることができるのですが、いくらデータが無料でもそれを見ようとしなければ知識としてはけっして身に付かない。
2100年の子供人口は20億人で現在と変わらないし、グラフもこれまでのような右肩上がりの直線にはならないのだそうです。
- 質問6 自然災害で毎年なくなる人の数は過去100年でどう変化したでしょう。
A 2倍以上になった
B あまり変わっていない
C 半分以下になった
正解はC正解率10%
自然災害による死亡者数は100年前と比べて25%になった。
- 質問7 世界中の1歳児の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう
A 20% B 50% C 80%
正解はC
著者が世界的な大銀行が主催するグローバル金融の幹部の集まりで講演した時には、85%の人たちが予防接種を受けている子供は世界の中でほんの少数だと思い込んでいた。
- 質問8 世界中の30歳男性は平均10年間の学校教育を受けていますが、同じ歳の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?
A 9年 B 6年 C 3年
答えはA
- 質問9 いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいるでしょう
A 20% B 50% C 80%
答えはC
80%の人にはいくらかでも電気が届いている。供給が不安定だし停電もよくあるが世界は良いほうに向かっている。
とてつもなく深刻な地球温暖化のリスクから地球を守りたいのなら、必要なのは現実的な計画です。
著者によると、2007年1月にダボスで行われた世界経済フォーラムの、地球温暖化のパネルディスカッションでこんな発言が飛び出したそうです。
「中国やインド、そして他の新興国は、二酸化炭素の排出量を増やしています。このままいけば、地球温暖化に歯止めがかからなくなる。現時点で、中国はアメリカより排出量が多く、インドはドイツより排出量が多いのです」
あたかも一般常識を語っているかのようだったEU加盟国の環境省のこの発言に、インドのパネリストは張りのある声でこういった。
「世界を危機的状況に陥り出せたのは、高所得国の皆さん、あなた方です。あなた方は100年以上にわたって、どんどん石炭を燃やし、湯水のごとく石油を使ってきた。あなた方のほかに、地球温暖化の引き金を引いた人がいるとでもお思いですか?」
その後、小さく優しい声でこう言った。
「しかし今回は許して差し上げましょう。あなたは自分が何を言っているか、きちんと理解していなかったのだから。気づかずに犯してしまった過ちについて、後からどうこう言うのは、私もいい気はしませんな」
この後彼はこう続けたそうです。
「しかしこれからは一人当たりの二酸化炭素排出量について、語り合うことにしましょう。」と
今後は110億人全員が望んだ生活を送れるような新しいテクノロジーを開発することに力を注ぐべきなのだそうです。
みんなが私たちと同じレベル4の生活を送り、全員が今より快適に暮らせるようなスマートな解決策を見出せなければならない。
世界は良い方に変えていけるのだから。
まとめ 1
このクイズは、様々な国の様々な分野で活躍する人々に実施してきたそうです。
医学生、教師、大学教授、著名な科学者、投資銀行のエリート、多国籍企業の役員、ジャーナリスト、活動家、そして財界のトップまで間違いなく、高学歴で国際問題に興味がある人たちにです。
しかしこのようなグループでさえも、大多数がほとんどの問題に間違って、一般人の平均スコアを下回り、とんでもなく低い点数をとったそうなのです。
ノーベル賞受賞者や医療研究者などの優秀な人たちでさえ、世界のことを何も知らない。
「世界についての知識不足がなぜこれほど根付いているのであろう。」
と著者は考えます。
アップデートができていないから?
いや,それだけではない
原因の本質は何?
人はなぜ世界を悲観的に捉え続けてしまうのか。
その原因は脳の機能にあったのです。
次回は、瞬時に何かを判断する本能と、ドラマチックな物語を求める本能が、「ドラマチックすぎる世界の見方」と,「世界についての誤解」を生んでいるという話をしたいとおもいます。
著者は人生をかけて,人々の考え方を変え,根拠のない恐怖を退治し,誰もがより生産的なことに情熱を傾けられるようにしたいと願っていました。
そして、この本を読み終えた後心が軽くなり,世界に希望が持てるようにと。
著者のハンス・ロスリングさんはこの本が出版される前にお亡くなりになりました。